デザイナーのMIURAです
「デザインガイドライン」と聞くと、どのようなアウトプットイメージを持つでしょうか。
実際に検索するだけでも、VIの使用ルール、トンマナ、UIコンポーネントの設計思想など、多くの事例を見ることができます。これらのデザインガイドラインが作られる主目的は、ブランドやアウトプットの統一性を図るためですが、「文言」もその役割を担う要素の一つです。
ここでは、ソフトウェアにおける文言のガイドラインについて、その目的や具体的なまとめ方を記したいと思います。
ブランドらしさを表現する文言
複数人のUIデザイナーがいる、比較的規模の大きなソフトウェア開発に携わる中で、アウトプットのトーンがばらつくことは何度か課題として挙げられていました。文言も例外ではありません。どのような言葉を発し、どのような言い回しをするのか。一つひとつの積み重ねがそのブランドらしさを作り上げています。
しかし、チームで連携する上で具体的な観点が明文化されていなかったため、それぞれの視点での”わかりやすい”文言を検討→相互レビュー→修正→再度レビューを実施…というようなやりとりが多く発生していました。
そこで、このプロジェクトでは以下を目的として文言のガイドラインを作成しました。
文言ガイドラインの目的
・ブランドイメージの統一
・ユーザビリティの担保
・UIデザイナーの生産性の向上
ここからは、具体的に文言のガイドラインの中身を記したいと思います。
1. トーン&マナー
ブランドの人格を示す
サービスや企業ごとに示されているブランドガイドラインは、全ての土台になります。
文言においては、ブランドパーソナリティと呼ばれる、ブランドの人格を示した上でルールを整備していきます。
例えば…
ブランドパーソナリティの例
・わかりやすい / 温かみのある / 若々しい / …
・スマート / 信頼できる / 安定感がある / …
といったように、ブランドを想起させる形容詞を示します。
実際のプロジェクトではカスタマーサポートの方が話しているイメージを持つことで、より具体的な表現を揃えることができるよう、工夫しました。
ターゲット
文言におけるターゲットは、ブランドのターゲットとは別に定義しました。
事業がこれから伸ばしていきたい層など、カバーすべき対象をベースに考えると良いかもしれません。具体的には以下のような点を明確にします。
文言に合わせたターゲットを定義
・年齢
・コンピュータのリテラシーレベル
・普段使用しているPC(Windows or Mac)
・使い慣れているソフトウェアツール
2. ブランドパーソナリティをベースにしたDo/Don’t
1で示した形容詞を2〜3個ほどにまとめ、それらを表現できる文言のルールを示します。
【わかりやすい】
Do
小学生以下で学ぶ漢字を使用する
Don’t
中学生以上で学ぶ漢字を使用する
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Do
明確で平易な言葉
・ファイル
・警告
・取り込む
Don’t
一般的ではない業界特有の用語や技術的な用語
・CSVファイル
・アラート
・アップロード
【温かみのある】
Do
敬語は丁寧語に留める「メールを送信します」
Don’t
尊敬語を用いた、堅い表現をする「メールを送信いたします」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Do
ユーザーを主語にし、能動的な言い回しにする「登録しました」
Don’t
ユーザーのアクションに対し、受動的な言い回しにする「登録されました」
3. トーンのルールでは補えない、具体的な表記ルール
文言のガイドラインを作る上では、トーンとは異なる、より具体的な表記ルールも示す必要があります。
※役割や特性に応じてルールは異なるので、以下はあくまで一例です
一貫した言葉を使う
同じ意味を持つ単語には、同じ言葉・表記(漢字、送りがななど)を用いる
句点の使い分け
基本句点は使わない。
ただし2文以上の文章が改行無く続く場合には、最後の文末以外には句点を用いる。
記号、引用符
引用を示す記号:カギ括弧「」
日時の表記:yyyy/MM/dd hh:mm
例)2018/12/01 09:05(「-」や「.」を用いない)
おわりに
今回、良い顧客体験を提供することの重要性を見直していきましたが、その要素の一つとして、ブランド内で使用する文言も見つめ直すきっかけになれれば幸いです。
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