私がデザイン会社に入社した時、初めてイラストレーターでチラシを制作した際、
ドキュメントのラスタライズの解像度設定を300dpiのままで制作し、当時の先輩に注意されました。
「印刷物の解像度は、350dpiで制作するように」
当時は特にギモンに思わず、350dpiで制作をしておりましたが、
そもそも、なぜ350dpi必要なのか?
どのようにして350という数字が計算されているのか?
今現在、ギモンを抱えている新米デザイナーの為に取りまとめてみましたので
ぜひ、お読みください。
「必要解像度=出力線数の2倍」の理由
1インチあたりに配置される網点の数を線数と呼び、通常の印刷では150線もしくは
175線が一般的になっています。
そして、175線で印刷した場合、印刷物には1インチ(=2.54cm)あたり175本の線が存在していることになります。
以前の記事にて説明した通り、印刷物は点で表現されるので(便宜的にではありますが)175個の点があると考えてください。そうなってくると……
※175線→175個、点があるという意味
印刷が1インチあたり175個の点で表現するなら、
データも1インチあたり175個のピクセル、つまり175dpiあればいいのでは?
という疑問が生じてきます。
たしかに、175個のピクセルを175個の網点で表現するというのは、いかにもおさまりがいいように思えますが、ここで思い出してほしいのが網角の存在です。
ここから、ちょっとした計算式が必要になってきます。。。
網角が必要な理由
デジタルデータは規則正しく並んでいますが、印刷の網点は角度をつけて並んでいます。
0°の網点以外は、デジタルデータのピクセルに対して斜めに配置されるわけです。
すると網角が45°の場合、デジタルデータのピクセルを表現するためには√2(ルート2)倍の網点が必要ということになります。
他の角度として15°、75°の網点も同様に(部分的には45°以上に)、デジタルデータのピクセル以上の網点が必要になるため、線数と同じ解像度では十分な印刷結果が保証できないのです。
かといって、解像度が高すぎるのも問題です。
解像度が高いとデータが重くなって作業に時間がかかりますし、重すぎるデータは思わぬバグやエラーにも繋がります。そもそも人間の目で判別できるレベルには限界があるので、一定以上の解像度を設定してもほとんど意味がありません。
まとめ
そういった兼ね合いから生まれたのが
「必要解像度=出力線数の2倍」という350dpi神話が生まれた理由です。
結果として、印刷用データとして300dpiでも問題は無いけれど
350dpiならエラーやバグが起きにくいという理由で、350dpiが求められています。
感覚で理解していた解像度や計算式を理解することで、
ポスターサイズやハガキサイズなどの様々なサイズでも解像度のミスを減らすことが出来るので
作品作りのヒントにしてもらえたら感激です!!
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